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シティポップ人気ランキング!日本と海外こんなに違う!?

CITY POP海外編
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<strong>しろくろ</strong>
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ユーミン大瀧詠一はベストテンに入ってないの!?

竹内まりやより杏里のランキングが上なの!?

菊池桃子CITY POPなの!?

シティポップとは? 日本と海外では認識にズレがある

<strong>しろくろ</strong>
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YouTube動画やSpotifyが上手く表示されないときは画面の再読み込みをしてね

CITY POPは「ニューミュージックから派生したジャンル」「洗練された洋楽志向のお洒落で都会的な音楽」といわれます。
曖昧な雰囲気・ムードを表すもので明確な定義はありません。


2010年代半ば頃から「どうやら海外で日本のCITY POPが流行ってるらしい」と囁かれるようになり、CITY POPの解説本が発売されたり、音楽雑誌で特集が組まれるようになりました。


皆さんが抱くCITY POPとはどんなイメージですか?

日本での一般的なCITY POPの漠然としたイメージといえば……

  • 創成期にあたる70年代
  • オールディーズ的なお洒落なポップス
  • 日本語ロックの始まり
  • フォーキーでアコースティック

……のイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。


細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂によるロックバンド・はっぴいえんどのファーストアルバム。

CITY POP解説本やCITY POP特集の雑誌のトップページで扱われるのは、はっぴいえんど・シュガーベイブ・荒井由実・大瀧詠一・南佳孝などでした。

リアルタイムを知っている世代なら誰もが納得できる人選でしょう。
しかしその数年後、日本の音楽ファンたちは気づき始めます。

<strong>しろくろ</strong>
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「トップページで扱われる人たちって海外でCITY POPとして聴かれてないよね」と……。


山下達郎、大貫妙子が在籍したバンド・シュガー・ベイブ唯一のアルバム。不朽の名作「DOWN TOWN」収録。

海外ではシュガー・ベイブよりも、その後ソロになった山下達郎大貫妙子の曲の方が人気があります。

海外ではっぴいえんどの曲よりも、ソロになった細野晴臣鈴木茂の曲の再生数の方が多いのです。

【驚愕】日本・海外シティポップ人気曲ランキング 全然違うぞ⁉

日本のCITY POP人気曲ランキングと海外の人気曲ランキングをそれぞれ見てみましょう。

まずは2023年2月27日NHK『あさイチ』「こんなにおもしろい! 80年代“シティ・ポップ”の世界」の生放送中で募集した「いま聴きたい!懐かしシティ・ポップ」ランキングです。

いま聴きたい! 懐かしシティ・ポップ
1位 大瀧詠一 君は天然色
2位 寺尾聰 ルビーの指輪
3位 稲垣潤一 ドラマティック・レイン
4位 松原みき 真夜中のドア~Stay With Me
5位 荒井由実 中央フリーウェイ

引用:NHKあさイチ「こんなにおもしろい! 80年代“シティ・ポップ”の世界」(2023.02.27放送)

続いてご紹介するのは2022年7月23日放送、日本テレビ『世界一受けたい授業』「世界が愛する日本のシティポップアーティスト第2弾!!」でSpotify全面協力のもと、2022年6月15日から7月12日までに海外リスナーが再生した回数を集計したランキングです。

最新!世界が愛するシティポップアーティスト
1位 松原みき 真夜中のドア~Stay With Me
2位 大貫妙子 4:00A.M.
3位 杏里 Remember Summer Days
4位 竹内まりや プラスティック・ラブ
5位 大橋純子 テレフォン・ナンバー
6位 細野晴臣 東京ラッシュ
7位 秋元薫 Dress Down
8位 松下誠 Love was really Gone
9位 八神純子 黄昏のBAY CITY
10位 杉山清貴&オメガトライブ ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER

引用:日本テレビ『世界一受けたい授業』「世界が愛する日本のシティポップアーティスト第2弾!!」(2022.07.23放送)

実際にはトップ20まで発表されましたが、引用が長くなってしまうのでトップ10まで紹介します。

見事なまでに日本と海外ではCITY POP人気曲が一致しないことが分かります。

日本のCITY POP人気曲ランキングと海外リスナーの再生数ランキングで共通しているのは松原みき「真夜中のドア〜stay with me」のみです。

松原みき「真夜中のドア〜stay with me」

読者の方には、海外での人気曲ランキングでは知らないアーティスト名があったり、知らない曲名が多いという方もいるでしょう。

海外のCITY POPの人気曲や定番曲は、日本ではいまいちヒットしなかったシングルA面、もしくは隠れた名曲扱いのシングルB面、アルバム収録の(日本のファンからすると)ちょっと地味な曲などが多いです。

日本でヒットした有名曲は海外ではややウケが悪いという現象が起きています。

補足をすると、記事冒頭の「世界が愛するシティポップアーティスト『ザ・トップテン』」で、1位だった山下達郎の名前がこちらのSpotify再生ランキングでは登場しません。

山下達郎がサブスクリプションを解禁していないためSpotifyに楽曲がないからです。
もし解禁していたら間違いなく上位にランクインしていたでしょう。

ユーミン・大瀧詠一は海外ではCITY POPのメインストリームではない??

2023年の年末、Spotifyで「世界で最も再生されたリリース年代別の国内の楽曲 」ランキングが発表されました。

70年代ランキングのトップ5のうち荒井由実の3曲が入っていました。
ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」「ひこうき雲です。

この3曲はジブリ映画の主題歌として聴かれていて、CITY POPとしては聴かれていません。

実はユーミンは海外でCITY POPの文脈では聞かれていない傾向があります。

トップ70年代ソング 2023

海外で聴かれた日本の歌70年代トップ100、80年代トップ100にユーミンの複数の曲がランクインしているのでユーミンが海外で聴かれているのは間違いありません。

トップ80年代ソング 2023

しかし、SpotifyやYouTubeなどのCITY POPプレイリストに、海外のファンは菊池桃子を選曲しても、ユーミン大瀧詠一を選曲することはめったにありません。

海外のリスナーによる51曲のSpotifyシティポップ・プレイリスト。海外で人気があるCITY POPの定番曲がほぼ選曲されている。日本でヒットした曲はわずか数曲しかない。

ユーミン・大瀧詠一だけではなく、はっぴいえんどシュガーベイブ南佳孝も選曲されていません。

<strong>しろくろ</strong>
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さあ、いよいよ解説の本題に入るよ!

海外のファンと日本のファンがCITY POPに抱くイメージの違い、好みの違いを説明します

ちょっと長い解説だけど頑張って読んでね♪

海外のシティポップの認識=80年代の音楽 / 知らない時代への憧れ

日本のシティポップの歴史やウンチクには興味がない

日本の音楽雑誌などで、CITY POPの名盤としてトップページで大きく紹介されるのは、CITY POP黎明期70年代のアルバムがほとんどです。

しかし海外ではCITY POPのメインは80年代の音楽と認識されています。

  • はっぴいえんどをCITY POPの起源と考える「はっぴいえんど史観」
  • 当時はCITY POPと呼ばれることは少なく、「シティ・ミュージック」「シティ・ポップス」と呼ばれることが多く、ニューミュージックの派生の言葉と受けとめられていた
  • ロックのメロディに日本語がのりにくい「日本語ロック論争」があった

はっぴえんどセカンドアルバム。「風をあつめて」「夏なんです」収録。

……などのウンチクには海外のファンは興味がありません。

歴史やウンチク、日本では大ヒットだった、などの情報はむしろ邪魔です。

難しいことは考えずに直感で好きな曲を聴いて「この曲カッコいい!」「最高のバイブスだ!」とCITY POPを自由に楽しんでいます。

海外のファンが作るプレイリストは「Japanese 80´s CITY POP」などのタイトルが多いです。
80年代の曲がメインですが実際には70年代後半の曲や一部90年代の曲も選曲されることもあります。

とはいえ海外のファンにとってはCITY POP=80年代のイメージです。

海外のテレビ・メディアで紹介されたCITY POP

2022年の大晦日から2023年の元旦にかけて放送されたCNN「NEW YEAR´S EVE LIVE」で杏里のデビュー45周年のニュースが取り上げられました。

CITY POPを次のように紹介しています。

「誰もが笑顔で過ごしたバブル期の日本で、CITY POPは豊かで華やかな時代の音楽でしたが、90年代経済のバブル崩壊によりこのジャンルは時代に取り残されました。
しかし、現在インターネットで日本や海外でリバイバルとして発見され、新しいファンを獲得しています」(英訳)

引用:CNN「New Year’s Eve Special」<限定公開> 杏里オフィシャルYouTubeより

2019年ウェブメディア『Vice』に「The Guide to Getting Into City Pop, Tokyo´s Lush 80s Nightlife Soundtrack(シティポップにハマるためのガイド、東京の80年代の豪華なナイトライフ・サウンドトラック)」という記事が掲載されました。

アメリカのVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)系のレーベルBusiness Casualを主宰するジョン・ゾベレ氏の言葉です。

「馴染み深いものであると同時に、異質なものには、何か興味をそそる魅力的なものがあるのです」
「私が初めてシティ ポップを発見したとき、タイムスリップをしたかのようでした。テレビをつけると、同じブランドや消費者製品が、覚えているのとは違う方法で販売されている、別の世界の古いコマーシャルを見ているような、昔に戻ったような気分でした」(英文訳)

引用:The Guide to Getting Into City Pop, Tokyo´s Lush 80s Nightlife Soundtrackより
The Guide to Getting Into City Pop, Tokyo’s Lush 80s Nightlife Soundtrack
Once derided as MOR muzak for yuppies, the glitzy genre that drew on funk, soul, disco, and lounge has become beloved by...

フランスのCITY POPトリビュートバンドAfter5はライブ告知のインスタグラムの投稿(2024年5月29日投稿文)でCITY POPを次のように説明しています。

「シティポップは新しいジャンルではありません! これは、80年代の日本のファンクにシンプルに付けられた名前で、近年インターネットのおかげで「復活(リバイバル)」しました!
ファンクとポップをミックスしてシンセサイザーを取り入れたこの音楽は、楽しいサウンドと哀愁を帯びた歌詞のコントラストに驚かされます」 (フランス語訳)

引用:AFTER5 インスタグラム(2024.05.29投稿文)より

冒頭に「80年代の日本のファンク」と紹介されています。
AFTER5のインスタグラムのプロフィール文には「City Pop Band」「Paris」「Japanese Disco / Funk」と書かれています。

日本人がCITY POPに抱く「70年代オールディーズ的なお洒落なポップス」のイメージではなく、彼らにとってCITY POPは「日本のディスコとファンク」なのです。

CITY POPは懐メロではなく「懐かしくて新しい音楽」

アメリカ・シカゴのDJヴァン・ポーガムは林哲司との対談でCITY POPのことをこう表現しています。

「シティ・ポップは新しい音楽、新品です(笑)。それでいて、忘れていた古い友人の写真を見つけたかのような、懐かしい感覚になる音楽ですね」

引用:【CITY POP対談】世界的大ヒット「真夜中のドア」作曲家・林哲司 × 世界的シティ・ポップブームの先駆者・DJヴァン・ポーガム まぐまぐニュース!より

「CITY POP」を聴くと、知らないはずなのになぜか知っているような懐かしさを感じるのが面白いようです。

「懐かしい音楽が聴きたいなら日本のCITY POPではなく、欧米の70~80年代の音楽を聞けばいいじゃないか」と思う読者の方もいるでしょう。

【CITY POP対談】世界的大ヒット「真夜中のドア」作曲家・林哲司 × 世界的シティ・ポップブームの先駆者・DJヴァン・ポーガム - まぐまぐニュース!
世界92か国のApple MusicのJ-Popランキング入りを果たしただけでなく、Spotifyのグローバルバイラルチャートでは18日連続1位を獲得した松原みき『真夜中のドア~stay with me』(1979)など70〜80年代にかけ...

海外のZ世代にとって、欧米の70~80年代の音楽はお父さん・おじいちゃん世代の音楽、ちょっとダサい音楽、おじさんがウンチクを語る音楽のイメージがあるそうです。

その点日本のCITY POPは懐かしさを感じさせるメロディなのに、知らない国の知らない言葉で歌う新鮮な音楽

知識がなくても純粋に楽しめる音楽。
だからこそCITY POP黎明期の歴史や日本語ロックの成り立ちなどに興味はないのです。

彼らにとって80年代の欧米の音楽は「懐メロ」ですが、日本のCITY POPは「懐かしい新曲」なのです。

「知らない国日本」「知らない時代80´s」へのノスタルジー

YouTubeなどでCITY POPに言及した海外リスナーのコメントを読むと、知らない国・日本への憧れ、失われたもの、豊かだった80年代への郷愁への言及が多いです。

「自分は80年代には生まれていないのに何故か懐かしいんだ」
「知らないはずなのに80年代の思い出が甦るようだ」というコメントが頻繁に書き込まれています。

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「夜」と「都会」をキーワードにした楽曲で構成したアルバム。

海外のファンはバブル期の豊かな日本を幻想のように感じ、「失われた理想郷への憧れ」を80年代の日本にイメージし、それをCITY POPとFuture Funk(フューチャーファンク)に求めています。

Future Funkとは
Vaporwaveから派生した音楽ジャンル。
日本のCITY POPや歌謡曲など80年代の音楽のスピードを上げ、更にドラムなどを重ね、ビートを強調してエレクトロニックなディスコサウンドに再構築している。
歌声もボカロ(ボーカロイド)のように加工している。

海外のファンが書き込むコメントのキーワードは「ノスタルジー」です。

70年代後半から80年代前半、これからバブル期に向かう高揚感。
その高揚感の裏側に存在する、都会の孤独感を歌う曲を「エモい」と感じるようです。

先ほど紹介した林哲司との対談でDJヴァン・ポーガムはセンチメンタルと表現しています。

「日本の音楽にはセンチメンタル(感傷的)な部分が求められているものが多いと感じています」
「今の若い世代はセンチメンタルな音楽で育っていないので、新鮮に感じているのだと思います。そういうセンチメンタルな部分も人間として必要なものじゃないかなと感じますね。」

引用:【CITY POP対談】世界的大ヒット「真夜中のドア」作曲家・林哲司 × 世界的シティ・ポップブームの先駆者・DJヴァン・ポーガム まぐまぐニュース!より

80年代バブル期の空気感がウケてる

プレイリストで使われるYouTubeのサムネイル画像は、都会のネオン・高速道路の夜景・80~90年代アニメのイラスト・80年代コカ・コーラのCMや映画の一場面・夏のリゾート地のイメージイラストが使われることが多いです。

海外の若い世代、Z世代が知らないバブル期の豊かな日本の空気感がウケているようです。

リゾートミュージック・夏に聴くシティポップ名盤

CITY POPには都会的な音楽の側面とリゾートミュージックの側面があります。
夏・海・ビーチをモチーフにした歌です。


「SPARKLE」「LOVE TALKIN’ (Honey It’s You) 」収録。イラストジャケットは鈴木英人。

平日の昼は仕事をして、夜は都会のディスコで遊び、週末は湘南・江ノ島、千葉の海に遊びに行く。

その車の中で、カセットテープに録音したCITY POPをドライブミュージックとして聴くのが定番でした。


杉山清貴&オメガトライブ「40周年リミックスプロジェクト」第四弾! 代表曲「ふたりの夏物語」収録。林哲司総監修のもとリミックス。

海外のCITY POPファンのインスタグラムなどSNSでは、夏が近づくと山下達郎杏里杉山清貴 & オメガトライブなどのアルバムジャケットを載せ、「夏が待ちきれない!」「CITY POPの季節がやってくる!」とコメントを書いています。


「キャッツアイ(NEW TAKE)」「悲しみがとまらない」収録。角松敏生プロデュース。

海外で人気のCITY POP =「80´sの踊れる曲」

では海外のファンが好きなCITY POPはどのような曲でしょうか?

具体的にいうとそれは……

  • ディスコ ・ ファンク ・ ブギー・フュージョン・AOR・ソウル・R&B テイストの踊れる曲
  • ループ構造に適したフレーズがある曲
    Future Funk系のDJ 、R&B・ヒップホップ系アーティストがサンプリング・リミックスしたくなる曲
  • 歌詞は悲しい恋・秘めた恋・失恋を歌うものが多い
  • クセがなくて、言葉が聞きとりやすいボーカル
  • 疾走感のあるドライブミュージック
  • 夏のリゾート地で聴きたい曲
  • 勉強中などに作業用BGMとして長時間聴き流すのにぴったりな曲
  • 印象的で華やかなコーラス
  • 日本の凄腕スタジオミュージシャンが演奏する豪華なサウンド
  • シンセサイザーのキラキラした音色
  • トランペットやサックス、ホーンセクションのド派手な音
  • ベースがブンブン鳴ってるグルーヴ感のある曲

まとめるとキラキラして豪華だけど、どこか悲しい「踊れる曲」「ノレル曲です。

メロウでアーバン、ダンサブルでグルーヴ感のある曲と言いかえることもできます。

「踊れる曲」と言っても今のダンスミュージックのようにテンポが早く、早口言葉のようなボーカルの曲ではありません。


「プラスティック・ラブ」「マージービートで唄わせて」収録。

少しゆったりとしたテンポで雰囲気に酔いながら横揺れしたくなるミディアムテンポの曲、メロウでアーバンな曲、ゆるいグルーヴ感のある曲です。

CITY POPが爆発的に海外で聞かれるようになったきっかけの竹内まりや「プラスティック・ラブ」松原みき「真夜中のドア〜stay with me」のような曲です。


「真夜中のドア~stay with me」「あいつのブラウンシューズ」収録。

キラキラして豪華だけど、どこか悲しい「踊れる曲」「ノレル曲」のCITY POPは、海外のファンが作ったプレイリストを聞くのが一番分かりやすいでしょう。

キラキラして豪華だけど、どこか悲しい「踊れる曲」「ノレル曲」については、こちらの記事:海外のシティポップファンは日本のヒット曲を聴かない⁉ 何を聴く? で、更に掘り下げています。

海外のファンが好きなCITY POPボーカリストの特徴については、こちらの記事:シティポップ海外ファンは日本語の歌が好き⁉ 人気ボーカルの特徴 をお読みください。

CITY POPファン~日本と海外の世代間ギャップ~

日本のファン ⇒ 70~80年代が青春時代の40代後半~60代

なぜ日本と海外ではCITY POPの認識にズレ、齟齬が起き、CITY POPの人気曲がここまで違うのでしょうか?

それは日本と海外のファンに世代間ギャップがあるからです。

日本でCITY POPを聴くのは主に70~80年代を青春時代を過ごした世代。
現在40代後半から60代のリスナー
です。

当時から現在に至るまで、大好きなCITY POPアーティストを長年応援してきたファンたちです。


あの伝説のFM誌「FM STATION」が、架空のFM局「FM STATION 8090」として復活! あの頃聴いた80年代~90年代のCITYPOPやJ-POPから名曲の数々をセレクト!

そしてCITY POPアーティストと同時代を過ごし、共に年齢を重ねてきた熱心なファンです。
それが故にウンチクを語りたい人たちでもあります。

リアルに日本の70~80年代を知っているからこそ、海外でのCITY POPブームに対して違和感を抱いてしまいます。

もしくは「うわー、懐かしいね。若い頃よく聴いていたよ」「おおっ、久しぶりに聴いたなぁ。昔コンサートに行ったよ」と “あの頃” を思い出す、「懐メロ」として聴くライト層のリスナーたちです。


安全地帯・稲垣潤一・来生たかおなどCITY POPコンピレーション・アルバム

海外の若者、Z世代は80年代の音楽、例えばマイケル・ジャクソンを「お父さん世代が聴く、ちょっとダサい音楽」と思うそうです。

日本の若い世代、Z世代にとってCITY POPはダサいとまでは思わないけど「お父さん・おじいちゃん世代の音楽」、「知らない時代の昔の音楽」という認識です。

日本の若い世代で今「レトロブーム」「80年代ブーム」が起きてるとマスコミで度々取り上げられています。

しかし、実際にCITY POPを聴く日本のZ世代はコアな音楽ファン、マニアな音楽ファンに留まっているのが現状でしょう。

残念ながら日本のZ世代の誰もが知っているCITY POPの再ブレイク・ヒットは、まだ令和には生まれていないと思います。

海外のファン ⇒ インターネットで“発見”した20代のZ世代

海外のファンはインターネットでCITY POPを発見した20代がメインです。

そう、まさにそれは「発見」です。

CITY POPを知ったきっかけがYouTubeのFuture Funkの動画だというファンも多いです。

Future Funkは主に日本のCITY POPやアイドル歌謡など80年代の音楽のスピードを上げ、ビートを強調し、エレクトロニックなディスコサウンドに加工します。

踊らせる目的でリエディットしています。

そして「セーラームーン」「うる星やつら」などの日本のアニメ画像とともにYouTubeにアップされます。

Future Funkは日本のアニメ好き、アニメオタクとも結びついた文化といえます。

CITY POPの入口が、ディスコサウンドに強調されたFuture Funkなので、海外のファンにとってはCITY POP=踊れる曲のイメージなのです。

韓国のFuture FunkのDJ Night Tempoによる公式リエディット 工藤静香「嵐の素顔」

Future Funkから入ったファンが原曲のCITY POPを聴き、「原曲のグルーヴも気持ちいい」「最高のバイブスだ!」と深みにはまります。

そのためCITY POPのプレイリストのタイトルが「CITY POP Disco Mix」「CITY POP Dance Mix」とつけられるものがあります。

またFuture Funkはほぼ女性ボーカリストの曲がリエディットされるため、CITY POPの人気アーティストも女性ボーカリストが多く選ばれる傾向があります。

記事冒頭で紹介した「世界が愛するシティポップアーティスト『ザ・トップテン』」は10人中7人が女性アーティストです。

Future Funkの影響が色濃く現れます。

正直、このギャップはなかなか埋まらないでしょう。

【まとめ】シティポップブーム終了の海外 / いまいち盛り上がらない日本

CITY POPブームが終わり、いまや海外でCITY POPは、クラブカルチャーと結び付いた「踊れる」音楽ジャンルのひとつとして定着しています。

シティポップ・ブーム終了についてはこちらの記事 : シティポップ・ブーム終了? 海外で新しい展開へ!!をお読みください。

しかし、本家であるはずの日本でCITY POPブームがいまいち盛り上がりに欠ける理由は、日本と海外のCITY POPのジャンルの捉え方の違い、捉え方のズレ・齟齬があること

日本の若者世代、Z世代にはCITY POPが定着していないこと

日本と海外ではCITY POPの人気曲・定番曲が一致しないことが大きいでしょう。

注釈

Vaporwave(ヴェイパーウェイヴ)
2010年代にインターネット上に生まれた音楽ジャンル。
大量に生産と消費を繰り返した80年代の忘れ去られた人工物などへの郷愁、消費資本主義社会への批判や風刺を込めた音楽。
80年代のポップミュージックのスピードを落とし、スローな音楽にして、延々とループさせるのが特徴。
そのサンプリング素材に世界各国の音楽が使われたが、日本のCITY POPも好んで使われた。
YouTubeに紫や水色などのネオンカラー、レトロなグラフィック、無機質な彫刻などの画像、不自然な翻訳の日本語などと共に投稿される。

Future Funk(フューチャーファンク)
Vaporwaveから派生した音楽ジャンル。
主に日本のCITY POPや歌謡曲など80年代の音楽のスピードを上げ、エレクトロニックなディスコサウンドに再構築している。
歌声もボカロ(ボーカロイド)のように加工している。
Vaporwaveに比べ、明るく踊れる曲にしているのが特徴。
YouTubeには、日本のアニメ画像や、コカ・コーラなどの80年代CMとともに投稿されることが多い。
アニメ映像やCM映像を3~5秒ほど切り抜いて、ループさせた動画にFuture Funkが流れる。
作業用BGMとして人気のローファイヒップホップ(Lo-fi Hip Hop)にも、短いアニメをループさせる映像の手法が定番になっている。
Vaporwave・Future Funkともに著作権的には大分グレーなジャンルだが、日本のCITY POPが海外に広まるきっかけになった。
YouTubeに投稿されたVaporwave・Future Funkを聞いた海外のリスナーが、原曲のCITY POPを聞くようになったといわれている。

YouTubeのサムネイル画像
YouTubeでの検索一覧やおすすめ動画で表示される小さな画像。
画像をクリックすると動画に飛ぶことができる。
サムネイル画像が動画の内容を伝える視覚的な看板になるため、クリックを誘発する重要な役割を果たす。
視聴者に一目で動画内容が分かるように、サムネイル画像に動画を象徴する画像や動画タイトル・キーワードなどが書かれる。

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