「秘密~THE TOP SECRET」第1回放送
関西テレビのドラマ、月10枠「秘密~THE TOP SECRET~」が2025年1月20日からスタート、第1回「死者の脳だけが知る えん罪事件の真実」が放送されました。
原作は1999年から白泉社「MELODY」で連載を開始した清水玲子「秘密~THE TOP SECRET~」、そして現在も連載が続く「秘密 season 0」。
脚本は佐藤嗣麻子(「アンフェア」「陰陽師0」)、第1回の監督は松本佳奈(「きのう何食べた? season2」「団地のふたり」)。
テレビドラマ第1回の簡単な概要とあらすじを説明すると……
【ネタバレ注意!】
科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”、死者の脳を特殊なMRIスキャナーにかけ、生前の記憶を映像化する「MRI捜査」を行う機関。
驚異的な記憶力と鋭い洞察力を持つ薪剛(板垣李光人)は、“第九”の室長に任命され、大学時代からの親友・鈴木克洋(中島裕翔)が副室長となった。
その第九で初めて死刑囚の脳を見ることに。
鎌倉一家惨殺事件の死刑囚露口浩一(光石研)は、6年前に妻・次女・義母を殺害し、長女絹子(夏子)の死体を相模湾に投棄した。
死刑が執行された露口の脳には思いも寄らぬ衝撃的な映像があった。
露口は殺人を行っていない、真犯人は意外な人物。
そして同じ頃、とある交番では20代の女性が保護される。
それは相模湾に遺棄されたと思われていた長女絹子だった。
脳内にどんな映像が隠されていようとも、すでに死刑執行された露口の判決が覆ることはない。
なぜならもう刑は執行されてしまったから……。
原作ファンはココが許せない!……らしい
しろくろは、テレビドラマはテレビドラマとして楽しめました。
でも、原作ファンの皆さんは賛否両論。
どちらかというと「否」の意見が多いようで……
具体的に見てみましょう。
①主演の板垣李光人が薪剛に合ってない
原作者の清水玲子が、薪剛のモデルは、L’Arc〜en〜Cielのボーカルhydeだと公言しています。
小柄な男性だけど、圧倒的なオーラとスター性、そして威圧感があるのが薪剛です。
そして30代なのに、私服では高校生に間違われてしまうのも薪剛です。
板垣李光人くんは子供っぽく見えてしまう、違和感がある、などの意見が散見されました。
肯定的な意見もあって、思ったよりもビジュアルが薪さんだったと、主人公のキャスティングは賛否両論です。
しろくろは、静止画では薪剛っぽいなぁとは思いましたが、実際にお芝居をしている映像を見たら、圧倒的なオーラや威圧感は足りないかなぁと思いました。
まあ、それはこれからの期待として見守りましょう。
②原作の青木のセリフを薪剛が、薪剛のセリフを鈴木が話してる
原作では露口絹子のエピソードは第2巻に収録されています。
露口絹子のエピソードは、青木一行がメインの回です。
テレビドラマでは中島裕翔が、鈴木克洋と新人捜査官青木一行を一人二役で演じます。
原作では年齢も若く、正義感が強い青木が青臭い正論を言うと、上司の薪剛が咎めるセリフを言います。
しかし、ドラマでは青木ではなく、鈴木の生前のエピソードに変更され、原作の青木のセリフを薪が、薪のセリフを鈴木が言っていました。
「それは違うだろー」と違和感を持つ原作ファンが続出。
その気持ちも分かるけど、生前の鈴木を頼りにしていた薪と考えれば、しろくろはそれほど違和感はありませんでした。
③青木の父親のエピソードが削除されてる
原作では死刑囚露口の脳を見ることになった同時期に、青木の父親が亡くなっています。
青木の父親は生前日記をつけていたけれど、家族は誰も知らなかった。
家族の知らない秘密が書かれてるかもしれない、父の秘めた思いが書かれているかもしれない。
日記を読むことができないという母親から青木は日記を託されます。
青木は絶対守秘義務の死刑囚露口の秘密と、自分の父親の秘密を同時に抱えてしまった。
原作では、亡くなった人の秘密を、心に秘めた思いを知ることは許されるのかと、青木が二重の意味で葛藤するストーリーになっています。
テレビドラマでは露口絹子エピソードの登場人物が、青木から鈴木に変更され、放送時間の尺の都合もあったのでしょう。
青木の父親のエピソードは全くなかったことにされていました。
原作では父親の日記の存在があるからこそ、死者の秘密を知る葛藤、倫理的な問題が浮き彫りにされていたので、丸ごとカットは残念でしたね。
④貝沼清孝が天才脳科学者に設定変更
テレビドラマでは、特殊なMRIスキャナーを開発したのが脳科学者の貝沼清孝(國村隼)になっていました。
貝沼が天才能科学者に設定変更されたのは、原作ファンにはある意味衝撃でした。
原作の貝沼は第1巻に登場します。
科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”を舞台にした「秘密」シリーズの始まりであり、根幹に関わる重要人物のため「なんで貝沼が天才脳科学者なんだぁ!」と原作ファンは大分ご立腹。
【ネタバレ注意!】
原作の貝沼はホームレス。
スーパーで万引きをしたところ、偶然その場にいた薪に助けられ、「生きる希望が湧きました」と薪に伝えます。
その後、薪を苦しめるために28人の少年を殺害し、自殺した後も貝沼は薪を苦しめ続けるという厄介な人物。
28人殺しの貝沼の脳を見た第九の捜査官は精神状態に錯乱をきたし、薪を救いたくて貝沼の脳を見た鈴木も亡くなります。
その貝沼が、テレビドラマでは天才脳科学者に改変されていたため、原作ファンは大激怒!
とはいえ、しろくろはこの改変はアリかなぁと思いました。
原作の貝沼は、薪に執着して、薪を苦しめるために色々と手の込んだことをする人なので地頭のいい人なのだろうなと思っていました。
なので貝沼の天才脳科学者への改変はアリだなぁと思いました。
⑤しろくろの不満 尺が足りない!
①~④の原作ファンによる不評の声、しろくろは、それほど気になりませんでした。
しかし、唯一の不満は尺が足りなかったこと!
露口絹子の原作エピソードは、テレビドラマで前後編、2回に分けて放送してほしいくらいのボリュームがあります。
それが、さすがに1回46分の放送では短い! 尺が足りない! 物足りない!
テレビドラマは端折りぎみのストーリーで、原作を知っていればついていけるけど、原作を知らない視聴者は「???」となった方もいるのではないでしょうか。
絹子役の夏子の演技が好評
原作ファンによる不評の声が色々とありましたが、絹子役の夏子の演技は絶賛の声があがっていました。
夏子がインタビューで語った絹子像です。
ずっとひとりで闘ってきた、強くもあり底知れない寂しさを抱えた人物だと思っています。今まで誰にも打ち明けなかった絹子の秘密を、MRIを通して薪と共有することになった時、絹子は出会ったことのない感情に出会うのではないか、それは怒りや憎悪なんて単純な気持ちではない、その何かを探して撮影していました。
引用:めざましmedia『秘密~THE TOP SECRET~』第1話ゲストは光石研&夏子!「板垣李光人さんと中島裕翔さんは、薪と鈴木がそのままいるよう」(夏子)より
絹子の狂気、怒り、悲しみが伝わる素晴らしい演技でした。
とはいえ、第2回に期待! ゲスト出演は池脇千鶴
「秘密~THE TOP SECRET~」の第2回は「鏡の中に生きる私」。
コンビニ店員小島郁子による殺害事件。
小島郁子役は、この数年テレビドラマに出演するたびに「えっ、別人⁉」「誰だか分からなかった」「やはり演技力がすごい」と話題になる池脇千鶴です。
池脇千鶴が語る小島郁子像です。
哀れな人です。真っ当に生きていて、誰にも後ろ指を指されることなく、慎ましく生きて来たのになぜこうなってしまったのだろう、と思う反面、分からなくはないなという苦しみを持って生きている人でした。
引用:Real Sound 池脇千鶴、『秘密』第2話にゲスト出演 「人間の本性が見える深い作品になっていれば」より
原作でコンビニ店員小島郁子のエピソードを読んだときに「これは映画やテレビドラマの監督は絶対に映像化したくなるだろうなぁ」と思いました。
小島郁子のエピソードは原作の第6巻に収録されています。
間違いなくショッキングな映像になるだろうと、俄然期待してしまいます。
ましてや小島郁子を演じるのが池脇千鶴とは、めちゃくちゃ楽しみです!