伊藤沙莉主演・朝の連続テレビ小説『虎に翼』
皆さんはNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』を見ていますか?
私はドはまりして毎日欠かさず見ています。
日本初の女性弁護士、のちに裁判官となった三淵嘉子の実話をもとにした、伊藤沙莉主演の朝ドラです。
SNSなどに熱心な視聴者のコメントが毎日書きこまれています。
『虎に翼』主題歌・米津玄師「さよーならまたいつか!」
主題歌を担当したのが米津玄師です。
まさか夜中でばかり生きている自分が朝ドラの曲を作ることになるとは思いもしませんでした。寅子の生き様に思いを馳せ、男性である自分がどのようにこのお話に介入すべきか精査しつつ「毎朝聴けるものを」と意気込み作りました。よろしくお願いします。
引用:2024年度前期 連続テレビ小説「虎に翼」主題歌担当アーティスト・曲名発表 NHKホームページ
「あさイチ」のインタビュー映像で米津玄師は「毎朝聞けるような軽やかさ、かつ爽やかさが必要」という意識で、主人公・寅子の「人生や境遇に思いをはせながら」主題歌を作ったと話していました。
『虎に翼』主題歌「さよーならまたいつか!」収録アルバム |
メロディは意識したという軽やかさ・爽やかがありながら、どこか隠しきれない夜の雰囲気、闇の雰囲気が滲みでているような気がします。
寅子の人生や境遇に思いをはせた歌詞は「空に唾を吐く」となかなか衝撃的です。
米津玄師「さよーならまたいつか!」公式MV
『虎に翼』は夜のカフェで働く同級生のよねの境遇、逮捕されて裁判にかけられる父親の直言、最愛の夫で寅子の理解者である優三の戦死など、歴代の朝ドラと比べてもなかなかハードな展開です。
その寅子の人生を反映させた歌詞なのでしょう。
米津玄師は、下記の音楽ナタリーのインタビューで次のように語っています。
この先の寅子にも様々な困難と地獄が待ち受けているのかなと想像させる歌詞です。
歌詞にはドキッとするようなインパクトのある言葉が綴られています。
下記をクリックすると「さよーならまたいつか!」の歌詞が読めます。

サビの「100年先も覚えているかな」については次のように話しています。
ものすごく遠い未来に憧れがあるんです。100年でも1000年でもいい、ものすごく先。自分も当然死んでいるし、自分のことなんて誰も覚えていない、今の世の中の形なんてまったく失ってしまった未来のことに思いを馳せることがよくあって、そうやっているとすごく安心するんですよね。営みが脈々と受け継がれながらたどり着いた先には、その世界を当たり前として生きる人たちがいる。そのことが自分にとって救いのように感じられるんです。
引用:「“キレ”のエネルギー宿した「虎に翼」主題歌 100年先への希望と祈りを歌に込めて」音楽ナタリー
『虎に翼』オープニング映像担当 シシヤマザキ
私は『虎に翼』のオープニング映像が大好きです。
着物姿の寅子、女子部の同級生たち、当時の女性たちが働く姿がイラストアニメーションで描かれ、最後は法服の寅子と様々な職業の制服を着た昭和の女性たち、現在の女性たちが踊ります。
「さよーならまたいつか!」の歌詞に出てくる「100年先」に繋がる女性たちを描いています。
この印象的なタイトルバックを手掛けたのがシシヤマザキです。
シシヤマザキ プロフィール
引用:シシヤマザキ ShiShi Yamazaki Official Website
水彩画風の手描きロトスコープアニメーションを独自の表現方法として確立。
独特のピンク色を多用した作品は、シシピンクと呼ばれている。
CHANEL、PRADAや資生堂などのブランドのプロモーションイメージの制作を担当し、世界的に活躍。
「NHK 連続テレビ小説『虎に翼』心に響く名言ブック (ぴあMOOK)」に、シシヤマザキのインタビューが掲載されています。
米津玄師「さよーならまたいつか!」を聴いたときの印象を次のように語っています。
不思議な曲だなと思いました。優しい感じだけど、歌詞がすごく尖っていて。デモの段階から歌詞もメロディーも抽象度が変化し、立体化していく段階が見られたのも面白かったです。
引用:「NHK 連続テレビ小説『虎に翼』心に響く名言ブック (ぴあMOOK)」より
映像化するとき、私はいつもあまり歌詞の意味を重要視しないんです。
映像という媒体自体がそもそもすごく刺激が強いものなのに、歌詞の意味を汲んでしまうと、強すぎてあざとくなってしまうかな、と。今回、米津さんが抽象化した意図もそうかなと思いました。何かに当てはめてしまうと、造形が歪になり、飲み込みづらくなっちゃうかもと思ったので。
チェッカーズ「ジュリアに傷心」MV制作もシシヤマザキ / 伊藤沙莉とも縁が?
シシヤマザキが手掛けたチェッカーズの「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」のMVが2021年に話題になりました。
まだミュージックビデオを作るという発想がなかった、昭和のヒット曲のMVを作っちゃおう、というテレビ朝日の番組「ザ・ニュージックビデオ」の企画でした。
自宅の古民家でシシヤマザキ自身が踊る映像を、固定カメラで撮影し、当時のチェッカーズが歌い、演奏する映像と組み合わせ、ロトスコープアニメーションにする工程が番組で紹介されました。
こちらの『チェッカーズ「ジュリアに傷心」アニメーションMV by ShiShi Yamazaki』でMVを見ることが出来ます。

放送された番組「ザ・ニュージックビデオ」の司会がリリー・フランキーと伊藤沙莉でした。

この番組の数年後、伊藤沙莉主演の朝ドラ『虎に翼』のタイトルバックをシシヤマザキが担当することになります。
伊藤沙莉とシシヤマザキはご縁があったのでしょうね。
『虎に翼』に関しては、放送されたドラマではカットされたセリフやシーンを読むことができるシナリオ集について書いた記事:ファン必読!吉田恵里香『虎に翼』シナリオ集は読み物として面白い もありますので、興味がある方はお読みください。

追記1:「さよーならまたいつか!」オープニングタイトルバック・フルバージョン
「さよーならまたいつか!」オープニングタイトルバック・フルバージョンが公開されました。
「さよーならまたいつか!」OPタイトルバック・フルバージョン
2024年9月18日にNHK総合にて放送された特別番組『虎に翼×米津玄師スペシャル』の中で初公開されたものです。
『虎に翼』のオープニング映像を制作したシシヤマザキによるロトスコープアニメーションで、現在のオープニング部分はそのままに、楽曲フルバージョンとして新たに制作されました。
今回新録されたカットと『虎に翼』の名場面で紡がれています。
朝ドラ最終回直前にオープニングタイトルバックのフルバージョンが制作されるなんて異例なことですよね。
もしかしたら、初めてでは?
ドラマの『虎に翼』そのものが話題作ではありましたが、米津玄師による主題歌とシシヤマザキのロトスコープアニメーションが好評だったのでしょうね。
追記2:「さよーならまたいつか!」紅白スペシャル
2024年12月31日放送、第75回NHK紅白歌合戦の特別企画で『虎に翼』紅白スペシャルドラマとのコラボで米津玄師「さよーならまたいつか!」が披露されました。
『虎に翼』の出演者たちが、米津玄師のバックダンサーとして踊る豪華な企画で話題になりました。